この小説も2016年に入院していた時に1日で読み切った作品です。この「赤い指」は印象深く、ドラマでも観たことがあったので、おおまかな内容は覚えていました。今回、車のタイヤ交換の待ち時間を使って再度読み切りました。私が東野圭吾の作品が好きな理由は、ミステリーの面白さだけではなく、人間模様が描かれていているところです。この「赤い指」も容疑者の家族と、加賀恭一郎の家族の複雑で切ない心情がとてもよく織り込まれています。そのために、ミステリーの内容に対して長編すぎると思われる読者もいるようで、そこが好き嫌いの別れ際となると思います。この作品は、小学2年生の女児を殺害してしまった家族の隠蔽と葛藤の中、最後は切なくて悲しすぎる結末を選んでしまいます。読んでいる側としては、最初から警察に連絡するのが一番家族を守ることだとわかるのですが、当事者はどうしても都合よく考えてしまうのでしょう。特に母親である八重子には腹立たしささえ覚えました。加賀恭一郎シリーズの第7弾として、加賀の父親の死が描かれている作品でもあります。2度目でもとても楽しめて面白い作品でした。一点だけ少しわかり難かったのが、政恵が指を赤くしたタイミングです。少女の死体を遺棄した直後であるはずなのですが、その時にすでに自分が身代わりにされることを予測していたのでしょうか。
ドラマは2011年1月に新春ドラマとして初放映されています。私が観たのは再放送だったと思います。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。



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