小説「ヨモツイクサ」

娘たちが面白いというので、末娘に借りて一気に読みました。

北海道の「黄泉の森」という、昔から決して入ってはいけないと言い伝えられるところが舞台です。その「黄泉の森」を大手ホテル会社が開発するということになり、そこの工事関係者が行方不明になります。主人公は道央大病院の外科医である佐原茜で、茜の実家はその「黄泉の森」の近くで牧場をやっていて7年前に一家全員行方不明となっています。その犯人はヒクマではなくヨモツイクサという生き物だとわかり、その正体を突きとめるという話です。

設定が非現実的で、神だとか遺伝子だとか複雑であったり、「黄泉の森」という不思議な場所であったり、ヨモツイクサとかイメルヨミグモとかイザナミとかアミタンネとか、どんな姿をしているのかわからない生き物が出てきたり、頭の中は文字から浮かぶ想像の世界が広がります。また、ヨモツイクサに人が殺されるシーンの表現はけっこう残酷な表現があるので要注意です。

終盤の鍾乳洞でのイザナミとの戦いは迫力はあるもののけっこう長くて、そこでベクターの正体もわかり、これが結末なのかと思って、面白かったけど思ったほど意外性や深みのない結末だなと思ったら、最後の15ページほどで驚くような展開と結末で、これだから面白いと言われるのかと納得しました。この結末だから、面白いものを読んだという満足感で読み終えることかできます。設定の複雑さもこの結末だからこそいきてくるのだなとわかります。

設定がよく練られていて結末も面白く、とてもいい作品でした。映画化を期待したいと思います。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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