この作品は今年の9月27日に映画化公開ということで、事前に読んでおきたかったので読みました。ちなみに映画は、藤ヶ谷太輔と奈緒が主演です。
ストーリーは、西澤架の婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消すところから始まります。第一部では、真実を探しながら真実の置かれていた環境と結婚に対する思いを知っていく架の姿が描かれます。第二部では、姿を消した真実の立場からの視点での行動が描かれます。
読み始めると、真実が失踪してどうなったのか、真実はどういう人物だったのかというミステリー的なところがとても面白く早く先を知りたくて、土曜日の夕方から読み始めてその日のうちに読み終えました。三波神社で、真実が架が自分を探していることを知り事情を説明する件で、三波神社の石母田が「あんだら、大恋愛なんだな」と真実に言うあたりから涙が溢れてきて、そのままラストシーンまで泣きっぱなしでした。私が単純で真実の心情や生きる苦しさみたいなものに共感してしまったせいかも知れません。
この作品は、架が真実の行方を調べていくうちに、真実の婚活相手などいろんな登場人物の行動や発言に対して、読む人の価値観によってその人の行動が「傲慢」に感じるか「善良」と感じるかによって、心に響くところが違ったり、まったく心に響かなかったりする作品だと思います。言い方を変えると、人は視点を変えると「傲慢」に見えたり「善良」に見えたりという、自分の価値観を突き付けられる作品でもありました。
人生を自分で切り開いて生きていくか惰性であまり考えずに生きていくかとか、嘘をつくことに心を痛め躊躇いを感じるか平気で嘘をつけるかとか、結婚相手や友人に対する許容できるところとできないところとか、自分の生きている世界の広さによる価値観の違いとか、親と子供の関係とか、自分を人に理解してもらうことの難しさとか、そういうことをいろいろと考えさせてくれる奥深い作品でした。
この作品が映画ではどう描かれるのか、楽しみに映画の公開を待ちたいと思います。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。



コメント