長女と一緒に書店で文庫本を見ていた時に見つけた作品です。最初に私が面白そうじゃない?と言ったら長女も興味を持っていた作品だったので、買って読むことにしました。
買った時には気付かなかったのですが、下記5作品の短編集でした。
①惨者面談(小説新潮2019年2月号)
家庭教師派遣サービスのバイト営業担当が家庭教師を売り込むために訪問した矢野家の違和感の真相。
②ヤリモク(小説新潮2021年2月号)
妻子持ちの42歳男性がマッチングアプリで娘と同じ容姿の女性と一夜限りの想いを抱くという真相。
③パンドラ(小説新潮2021年9月号)
不妊に悩む夫婦は真夏という娘を授かるが、同時に行った「精子提供」をしたことによりわかるその真相。
④三角奸計(小説新潮2022年2月号)
学生時代からのくされ縁の三人による「リモート飲み会」で暴かれる女性関係の真相。
⑤#拡散希望(小説新潮2020年2月号)
長崎沖の島で起きたYouTuberになりたいという小学生が暴く真相。
それぞれのストーリーはよく考えられていて面白いのですが、残念ながら意外性に乏しく、途中で真相がすべて予想できてしまい読み終わったあとの満足感がイマイチでした。最後の一言でそうだったのかと思わせてくれたり、予想を裏切るような話の組立ならば、もっと満足感を味わうことができるのにと思ってしまいました。伏線としての記述があまりにも単純で読み手に結末を想像させる要因になっているような気がします。
「惨者面談」の意外性は子供が実は・・・というところですが、「小6が事件を起こしている」という最初の振りで、なんとなく結末が良そうできます。「ヤリモク」では、6人成功という段階で男の目的がわかってしまいますし、娘の関与も想像できます。「パンドラ」は5作の中ではちょっと意外性がありましたが、男の血液型は結局どうだったのかわかり難かったです。「三角奸計」は、暴く方法は興味深かったですが、結末は予想通りでした。「#拡散希望」はYouTuberの正体は意外性がありましたが、なんか現実感の無い設定でした。
短編というせいもありますが、スケールの小さい感じがして、読んだ後に面白かったという感想にはなりませんでした。ちょっと期待外れでした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


コメント