ホラー好きの長女に感化されて、私も興味津々で観てみたいと楽しみにしていた「あのコはだぁれ?」を、長女とふたりで観てきました。この映画は昨年公開の「ミンナのウタ」のDNAを継いでいる装い新たな映画です。かなりの観客数でほとんど若者という感じでした。
君島ほのかは高校の臨時教師で、夏休みの補修授業で、ある女子生徒が屋上から飛び降りるという不可解な死を目の当たりにします。そこから補習授業に本来いるはずのない女子生徒がいることに気づき、その女子生徒の家に行ったことからその女子生徒の謎を追うことになります。そして、その女子生徒は32年前に死んだ高谷さなだということがわかり、さなの目的(=死ぬ音を記録する)や、ほのかの目の前で事故に遭った恋人・悠馬との関係などがわかってきます。ほのかはさなの獲物となる生徒を守ろうとするのですが・・・
それなりに不気味で面白かったのですが、思っていた内容とは違っていました。ポスターには、「この教室には、いないはずの生徒がいる」とか、「学校であのコに見つかってはいけない。見つかったら殺される」と書かれていたので、あのコは簡単に存在を見せない不気味さや怖さがあるのかなと思っていたのですが、最初からそのコは教室にいてみんながその存在を認識して普通に接していたので、えっ?どういうこと?という感じでした。それなりの怖さを感じるシーンはあるし、高谷さなの過去や”死ぬ音”に対する秘密に対するミステリー感もあるし、次に誰がどんな形で犠牲になるのかという緊迫感もありますし、全体としては面白い映画だったとは思いますが、結局”高谷さな”は恨みでもなく”死の音”を収集する変質者というだけなのが、恐怖の奥深さをスポイルしているように思いました。
ラストシーンは、平穏な状態に戻った学校で、ほのかと瞳は屋上から落ちて生徒がふたり死んだ場所で追悼をしており、そこに傷の治った悠馬が現れて意外な結末(実はふたりではなかった・・・)を観客は知らされることになるのですが、私はその結末になんかやりきれないものを感じてしまいました。他に殺されたと思っていた生徒や教師(さなの怒りを買った最初の女子生徒を除き)は生きていた(エンドロールでさりげなく示される)のですから、わけがわからないという感覚になってしまいます。ただ、その絶望的な感情を渋谷凪咲は最後によく表現していたと思います。こういう類の映画は主人公が・・・という結末は少なくありませんので、ある意味定石なのかもしれませんが、変なところは凝らずに、もっと恐怖を感じさせてくれる作りをしてほしかったなと思ってしまう映画でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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