映画「侍タイムスリッパー」

この映画は、自主制作映画で8月に池袋の1映画館のみの上映だったものが、今や全国300館以上の上映となっている評判の映画で、「カメラを止めるな!」の再来とも言われています。私の住む地域での上映は10月18日からでしたが、ぜひ観たいと思っていました。いつも行っている映画館でも上映していたのですが、今回は家の近くの映画館でひとりで観てきました。

幕末を生きる会津藩士の高坂新左衛門(山口馬木也)は、長州藩藩士を討つ密命を受けて、ある夜にその行動を起こすのですが、刃を交える瞬間に雷に打たれ、新左衛門は現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてしまうところから話は始まります。自分の置かれた状況を理解する新左エ門は、時代劇の斬られ役を希望しいつの間にかそれが認められるようになっていきます。そんな時に現れたのが、新左衛門と同様斬られ役俳優から一流役者になった風見恭一郎(冨家ノリマサ)で、新左衛門を準主役で映画と撮りたいと持ち掛けるのですが、その背景には驚くべき事実が・・・というストーリーです。

タイムスリップと言ってもSF的な話はまったくなくて、過去の侍が現代にやってくるというだけの話です。現代にやってきた侍がどう現代に馴染んでいくかを、斜陽化していく時代劇が好きでたまらない人たちとからませて、ベタな笑いを入れながら面白おかしく描いています。なにか映画自体もタイムスリップしてきたかのような懐かしい感じがしました。風見恭一郎が自分の正体を新左衛門に伝えたあたりから、幕末の悲哀や、同じ時代を生きたふたりの友情なんかも感じられて、ちょっと感動してしまうシーンもありました。特にふたりで池で釣りをしているシーンは2人の心が通ういいシーンでした。そして一番の見どころは、ラストでの高坂新左衛門と風見恭一郎の真剣での殺陣です。本当に真剣で戦っているかのような緊迫感があって見ごたえ十分で素晴らしかったです。

そしてこの作品は、山口馬木也の現代に戸惑う姿、斬られ役として成長する姿、助監督に思いを馳せるかわいらしさ、時折出るとぼけた言動、がとても良かったです。顔はどちらかというと強面の俳優さんですが、とても純朴で素直でいい人を感じさせる雰囲気をとてもうまく出していました。ラストでは、武士らしい凛々しい面も見せてくれて、そのギャップも素晴らしかったです。

この映画のテーマや伝えたいことは何かと言われたら、時代劇に対する情熱、武士の生き方と友情、裕福で平和な時代への感謝、などでしょうか。観終わったあとは、なんか心がほっこりするような映画でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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