小説「隣はシリアルキラー」

長女が買っていた本です。タイトルが面白そうだったので本棚から選び、通院付き添いで待っている間に読み始めました。

会社の寮に住んでいる神足友哉は、深夜に隣室から聞こえる不気味な物音で起こされるということから話は始まります。神足は隣人の徐浩然(スーハオラン)が死体を解体する姿を妄想していましたが、近所で女性が相次いで殺されて、遺体の一部が発見されるという事件が発生し、その妄想はだんだんと現実味を帯びていきます。気になった神足は、真夜中に出かける徐を尾行していくと、徐が腕を捨てるところを目撃します。しかし、神足には警察に調べられると困る秘密を持っており、そのことを警察に伝えることができません。自分が徐を疑っていることを徐に気づかれたと思った神足は、自分が思いを寄せている別宮沙穂里が徐に殺されるのではないかと思い、会社の矢口と沙穂里を守ろうと尾行を続ける・・・というのがあらすじです。

結末が気になって一気に読んでしまいました。そういう意味では面白い作品だったと思います。しかし、徐が腕を捨てるところが早めに明かされることから、徐は死体損壊・遺棄の犯人であることは明らかになります。それによって徐の不気味さ、恐ろしさが際立つわけですが、反面、誰が犯人なのかという興味が少し薄れてしまいます。最後にどんでん返しがあって、真の犯人は意外な人物だったというオチはあるのですが、徐が歩道橋に階段から落ちて大怪我をするというところで、なんとなくその真犯人がわかってしまいましたので、作品の中で真実が明かされた時に驚きや意外性をあまり感じませんでした。それと、その真犯人の意外性を出すためなのか、当初のしっかりとした性格や正義感を感じさせる言動に対して、結末がわかったあとに「そうだったのか」という納得性を感じられず、無理に真犯人にしたような違和感を感じてしまいました。そのギャップが精神異常で片付けられているのも私は気に入りません。

結末が気になり読み進めたくなる面白さのある作品ではありますが、ホラーとしては怖さはありませんし(映像にするとかなり怖くなるかも)、ミステリーとしては安易な結末のような感じの残る作品でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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