今年、配信後に話題になったドラマですが、まだ観ていなかったので観てみました。原作は新庄耕の同名の小説です。
土地の所有者になりすまして売却を持ちかけて、多額の代金をだまし取る不動産詐欺集団(地面師集団)の犯罪を描くドラマです。かつて父の経営する不動産会社に勤めていた辻本拓海(綾野剛)は、自分のミスから地面師による不動産詐欺に遭い、それによって絶望した父は放火による一家心中を図ります。父は一命をとりとめるものの、拓海はその事件により母と妻と息子を亡くし孤独の身になります。拓海は、デリヘル嬢の運転をしていた時にハリソン山中(豊川悦司)に出会い、地面師に誘われ「交渉役」として活動することになります。そして、「マイクホームズ」から10億円、「石洋ハウス」から100億円をだまし取る計画を進めるという内容です。
真面目なサラリーマン風の綾野剛、冷徹で人を殺すことに猟奇的趣味を持つ豊川悦司がとても存在感を出していて見ごたえがありました。地面師詐欺行為自体は、ピエール瀧や小池栄子のキャラが立ちすぎて少しリアルさが無いような感じで、これでなぜ騙されるのかというところも感じますが、そういうところは主役のふたりの存在感で打ち消されます。ピエール瀧も小池栄子も北村一輝も個性的でしたが、主役の二人に比べると詐欺師としての重みをいうか深みというかそういうところが不足しているように感じました。警察側は、リリー・フランキーと池田エライザが素晴らしかったです。リリー・フランキーは、人はいいが優秀な刑事を演じていながら、飛び降り自殺を強要されるシーンはとてもリアルな恐怖の感情表現をしていました。池田エライザは、熱いところもありながら冷静に行動できる優秀な刑事をかっこよく素敵に演じていました。
ハリソン山中の人を殺すシーンは、少し気持ちが悪くなるような恐怖があり、リリー・フランキーを殺すシーンの躊躇いの無い行動や、竹下の顔を何度も踏みつぶして殺す異常さは目を背けたくなるようなシーンでした。特に竹下の顔を潰す最後に踏みつけるシーンは、北村一輝のリアルな顔の人形を使っているようで、本当にドキッとしてしまいました。そういう暴力的なシーンといい、性行為シーンといい、配信ドラマならではの重厚なつくりになっているので、映画を観ているような感じになります。
地面師詐欺行為はもう少しリアルさがあれば良かったかなとは思いましたが、全体的には、地面師詐欺の面白さ痛快さや、最後の辻本拓海とハリソン山中の対峙シーンや、心は悪人にはなっていなかった拓海に対する救いとか、いろんな魅力を感じることができるとても面白いドラマでした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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