映画「大きな玉ねぎの下で」

最近桜田ひよりが少し気になりつつあるのと、チラシのあらすじを読んでこの作品の恋物語に興味を持っていたので、観たいと思っていた映画です。私の行きつけの映画館では、公開1週間にしてもう一日一回の上映となってしまったので、いつ観に行こうか思案していました。今週も女性陣が今週版の「劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク」の応援上映を観たいと言ったので、調べてみたらちょうどいい時間差でこの映画が上映していたので、同行して私はこの映画を観ることにしました。内容は、1985年の爆風スランプの楽曲「大きな玉ねぎの下で~はるかなる想い」がモチーフとなっています。

<あらすじ>
大学4年生の男子・堤丈流(神尾楓珠)と看護学生の女子・村越美優(桜田ひより)は、「Double」という名前の店で夜間のバーと昼間のカフェに分かれて働いています。ふたりは、顔見知りで互いに反発しているのですが、同じ場所で働いていることには気づいておらず、店に置かれた業務連絡用ノートで連絡しあっています。業務連絡用ノートでは、趣味や好きなアーティストや悩みも書き込むようになり、ふたりは気を許し好意を持ち始めます。しかし、丈流は相手を勘違いしたまま武道館でのA-riの初ライブに誘うことを考えます。一方、ラジオ番組では35年前の高校生の時のペンフレンドとの恋、写真でしか顔を知らない好きな人と武道館で初めて会う約束をした話が放送される・・・

展開が淡々としていて盛り上がりは少なく平板な感じがしたり、素直になれないふたりに少しもどかしさを感じたりする映画でしたが、懐かしさや若い頃のトキメキみたいなものがよみがえってきて、私にとってはとても素敵な映画でした。私は文通や交換ノートを経験してきた昭和世代なので、書く時や待つ間のトキメキや心にキュンとくる気持はわかりますが、スマホのLINEでの短いやりとりや字の上手下手は関係の無い今の若い人には、そういう気持ちはピンと来ないかもしれません。

丈流と美優が連絡ノートによって惹かれ合うことが、ラジオ番組によって丈流の親にも文通という形で同じようなことがあったという話の流れは、ありそうな話で意外性というほどには感じませんが、それが逆にリアリティを感じますし、親世代には普通にあった話として懐かしさと共感を感じます。丈流の親の文通にかかわった4人が会うシーンは、ちょっと感動しました。そのシーンで「人生は偶然の出来事がきっかけだけど、そこで自分の運命を手にするかどうかは、自分の正直な気持ちで行動することが大切だ」という台詞がありましたが、過去の人生を振り返るとそうだなぁと感じる部分も多くて、そういう点でも共感してしまいました。

ラストの「大きな玉ねぎの下=武道館」で会うシーンは、丈流と美優、丈流の両親の話が並行して描かれ、それぞれの思いがよく伝わってきて感動的なシーンでした。桜田ひよりは内面含めてとても可愛い感じで演じていて、過去の嫌な役柄のイメージも消えて、とても魅力的に感じるようになりました。

観終わった時には目がウルウルしてしまっていて、温かい気持ちになれた映画でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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