小説「方舟」

この本も正月用に買ったものの、正月には読めずに残っていたものです。あらすじを見て面白そうだと思って買いました。

越野柊一(システムエンジニア)と従兄・篠田翔太朗、学生時代の友人・西村裕哉(アパレル系)/絲山隆平(ジムインストラクター)/絲山麻衣(幼稚園先生)/高津花(事務)/野内さやか(ヨガ教室受付)の7人は、裕哉の父親の別荘に集まっていた。裕哉の発案により7人は山奥の建物・方舟を訪れる。そこに偶然出会った家族・矢崎幸太郎(電気工事士)/弘子(妻)/隼斗(息子)を含めた9人は、地震で扉が岩でふさがれ方舟に閉じ込められる。方舟の中は3層の地下になっており、地下3階から水が流入し始めていずれ水没する。脱出する手段は、地下1階で扉をふさいでいる岩を地下2階に落とすしかなく、それを行うにはひとりが犠牲になるしかない。そんな時に裕哉が殺された。ひとりの犠牲は犯人がなるべきだという考えに傾き、犯人捜しをしはじめると、第2、第3の殺人が起きる・・・というストーリーです。

長編ですがとても読みやすく、登場人物と場所が限られているので状況も理解しやすいです。閉じられた方舟という中での殺人の犯人が誰であるかというのも非常に興味をそそられます。また、犯人がわかっても方舟から無事に脱出できるのかというスリルもあります。切羽詰まっているわりには全員がパニックになっていないというところは気になりますが、衝撃の結末のためにはパニックが起きていては成り立たないので、そこはフィクションということで横に置いておきます。犯人が○○というのにも驚きましたし、それを誰も気づかないような緻密な観察で解き明かした翔太朗にも感嘆しますし、最後の最後のどんでん返しには、あっけにとられるほどやられた感が強かったです。とても面白くて上手に組み立てられていて感心する小説でした。犯人を知ったうえでもう一度読み返すと、同じ言動でもそういう意味だったのかと確認する楽しさもありそうです。

とても面白い作品でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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