「絶対最泣」という文字と、「終着駅で待つ君へ」というタイトルに惹かれて買いました。
静岡県の天竜浜名湖鉄道の終点・掛川駅には、「大切な人のことを頭に浮かべながら改札口を抜けてください。あなたを待っている人に会えます」という、知る人ぞ知る「終着駅の伝説」がある。駅に立つ案内人は、二塔と名乗る謎めいた駅員。今日もまた、もう会えないはずの「あの人」の姿を探して乗客がひとり、駅に降り立つ…。そういう4編の物語を収めた作品です。
第1話「思い出列車に乗って」 篠田未来(14歳)と、認知症で自分のことを忘れてしまった祖母とのお話。
第2話「君を失う、その前に」 穂崎守(33歳)と、何も告げずに失踪した婚約者とのお話。
第3話「帰る場所はひとつ」 磐野亜紀(21歳)と、幼い自分を捨てていなくなった母とのお話。
第4話「名探偵への挑戦状」 藤沢和美(49歳)と、難病にかかり話もできなくなった夫とのお話。
「絶対最泣」の通り、泣きながら読み終えた作品でした。伝えたいことは伝えられるときに伝えないと後で悔やむことになるということを教えられますね。実際には、「終着駅の伝説」など起こりえないので、普段から自分の正直な思いや感謝はきちんと伝えておくことが大切だと感じさせられます。自分の思いや我儘を言うことよりも、相手の言葉をきちんと聞いておくことを心がけるべきです。4つの物語は、前の話の「終着駅の伝説」の体験者が登場して、その伝説が本当であることを伝えて引き継いでいきます。その流れも心地よいです。会いたい人に会いに行くという設定は同じでも、4つの話はそれぞれの人生がきちんと表現されていて、それぞれに異なる感動があります。特に第1話と第3話は、自分や家族に投影するところもあって、心に強く響きました。また、第4話の和美の言葉、「先の悪いことばかり考えていた。悪いことばかり考えて、今を見ることができなくなってしまっていた。」「残された時間が限られているのなら、ここで立ち止まっていてはいけない。いつか来る夜に怯えるよりも、今この瞬間を二人で生きたい。」という言葉は、これからの自分や家族が同じような状況になった時に支えになりそうです。
この作品は、単なるお涙頂戴ではなくて、大切な人に対してどう生きていくべきかということを教えてくれる優しい作品だと思いました。この著者の他の作品も読んでみたくなりました。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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