映画「ゆきてかへらぬ」

公開されて2週間経ちますし、ストーリーがイマイチ想像できなくて観るかどうか迷っていた作品です。上映時刻が都合よく合ったので今日観てきました。村上護の聞き書きによる「ゆきてかへらぬ~中原中也との愛」が原作のようです。

大正から昭和初期の無名の女優・長谷川泰子(広瀬すず)、詩人・中原中也(木戸大聖)、批評家・小林秀雄(岡田将生)の三人の物語。長谷川泰子は大正時代の京都で、自分より3歳若い17歳の中原中也と出会う。どこか虚勢をはる二人は互いに惹かれ合い、一緒に暮らし始める。やがて東京に引っ越した二人の家を小林秀雄が訪れる。秀雄は詩人としての中也の才能を認めており、中也も小林に一目置かれることを誇りに思っていた。そんな中也と秀雄の仲睦まじい様子を目の当たりにした泰子は、置いてけぼりになったような寂しさを感じる。やがて秀雄も泰子の魅力と女優としての才能に気づき、後戻りできない複雑で歪な三角関係が始まる・・・というストーリーです。

この映画で素晴らしいと感じたのは、広瀬すずの演技力でした。若く尖がっている頃、迷い神経症に悩み壊れ気味の日々、成長していく女優の顔、つっかえ棒が無くなってひとりで生きる強い顔、これが広瀬すずかと驚くほどの素晴らしい表現力でした。一瞬「宮沢りえ」か?と思わせる貫禄もあって、不思議な感じで観ていました。ストーリー自体は、複雑な心情の三角関係を淡々と描くだけであり、シーンの切り替わりも早く、地味で盛り上がりも感じず、少し退屈な流れでした。今日は少し睡眠不足だったせいもあって、中盤は少し眠りに落ちてしまうところもありました。映像は、大正・昭和初期の雰囲気に合った撮り方、見せ方で懐かしさを感じる作りでした。

秀雄の岡田将生も安定している演技だったし、中也の木戸大聖も中也の天才詩人っぽさがとてもよく出ていて素晴らしいと思いました。登場人物がいいので、この時代の世界観を楽しむということでは、とても味のある映画でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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