【あらすじ】
書店で働く40代の独身女性の灯(安達祐実)は、熊本地震をきっかけに30代精神科医の鹿乃子(倉科カナ)、20代のアパレル店員の仁(渡邊圭祐)と出会う。境遇も異なり、恋人でも家族でもない3人には、猫好きという共通点があった。3人には普通の人生を送っていないという心の影があり、そういう面でも共通点があり、灯の愛猫・マユゲ、鹿乃子の愛猫・ミカヅキとともに3人の共同生活を始める。3人とネコの共同生活は思いの他楽しく心落ち着くものだった。しかし、それぞれの人生に変化が訪れてきて・・・
【感想】
寝る前に、ほのぼのとした映画を観てみたいと思ってこの映画を見つけました。昨年公開の映画ということで新しい映画ですが、私は知らない映画でした。
寝る前に観るとつまらないと寝てしまうことがあるのですが、この映画は眠気などまったく感じずに、ほのぼのとした優しい世界観の中の物語に入り込んでしまいました。私はネコ好きで、可愛いネコがたくさん描写されているのだろうという期待もあったのですが、ネコの描写はそれほどではありませんでした。にもかかわらず、その世界観に入り込むことができたのは、登場人物3人と周りの人々の考え方にとても共感できて、自分に近い人たちのように思えたからだと思います。人生は人それぞれであり、考え方や価値観や嗜好も人それぞれ。その多様性を偏見もなく自然に受け入れているというところが、私にはとても気持ち良く心地よく感じました。何かをする時に、どちらかを選ばないといけないという二者選択でものを考えずに、両立する別の解もあるのではと考えることの大切さ、自分の思いを正直に相手に伝える(押し通すではない)大切さ、生き方なんて人の数だけあるものと考える大切さ、いろいろとあらためて感じました。灯が自分の思いを、鹿乃子と仁に伝えるシーンは、ジーンときて涙が出てきました。
「自分のこと、『自分なんか』って言わないで」という、鹿乃子の心に沁みる言葉が、この映画のすべてかもしれません。私の大切な身近な人たちにも繰り返し言っていることですが、これからも根気よく伝えていこうと思います。
タイトルの「三日月とネコ」というタイトルは、普通というものさしからは欠けている、または発展途上である三日月のような人たちとネコたち、そしてどちらも希望をあらわすもの。私には優しさ満載で心に沁みるとても良い映画でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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