【あらすじ】
ある朝、国鉄本社に東京発博多行きの新幹線「ひかり109号」に爆弾を仕掛けたという脅迫電話がかかってくる。犯人は速度が80 km/h以下になった場合に自動的に爆発するといい、さらに嘘ではない証拠として、北海道の夕張線を走る貨物5790列車に、15 km/h以下になると爆発する同種の爆弾を仕掛けたと伝える。ほどなくして犯人が指定した貨物列車は伝達通りに爆発し、国鉄と警察は脅迫が事実だと知る。「ひかり109号」は新横浜駅を通過したところであり、国鉄の運転指令長・倉持(宇津井健)は運転士・青木(千葉真一)に爆弾の存在を伝え、運行速度を120 km/hに抑えることを命じる。解決のリミットは博多駅に到着するまでの約9時間であった・・・
【感想】
Netflix製作の本映画のリブート版を観たので、元の映画も観ておきたいと思って観ました。
さすがオールスターキャストの本格的映画ということもあって、キャスト、ストーリーともに重厚感のある映画でした。この映画を観てからリブート版を観ると俳優陣の演技の貧弱さを感じます。両方観てみると、Netflixはリブート版とせずにあらたな脚本での新幹線爆破ストーリーにしたほうが良かったのではないかと思いました。
ただ、この映画は重厚感はあるのですが、警察のポンコツぶりが気になってしまいます。まずは新幹線を止めるという方針ならば、お金の受け渡しで警察の存在を知らせるような行動や犯人を逮捕するという行動は慎むべきなのに、平気で通りがかった柔道部員に犯人を捕まえるように叫んだりして、そういうところはしっかりと練られていないように感じました。それと、リブート版では出来のよかった新幹線のシーンは、この作品では、120km/hでの走行なのにそれ以上のスピードに見えるし、模型を使ったシーンが安っぽいし、全体の重厚感に対してかなり違和感を感じます。当時の映画はどの映画でもそんな感じだったので仕方のないことかもしれません。
リブート版は新幹線内の緊迫感を中心に描かれていましたが、この映画はそれだけではなく、沖田たちの人生背景や金銭受け渡しのシーンの緊迫感も丁寧に描かれています。それが重厚感を感じるところであり映画としては質が高いのかも知れませんが、そのためにどっちつかずの感じもあって、スリルを味わうパニック映画なのか、当時の過激派や中小企業の経営の苦しさといった高度成長時への批判を描く社会映画なのか中途半端な感じがしないでもありません。ラストシーンが新幹線乗客の無事で終わって良かったというのではなくて、犯人・沖田を追い詰めて狙撃されるシーンで終わるという作り方なので、どちらに重きを置いているのかわかるような気がします。
リブート版はJR東日本の新幹線車両の技術面に触れるということで面白かったですが、この元映画は当時の新幹線という魅力を取り入れたヒューマンドラマということで面白かったと思います。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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