映画「教皇選挙」

【あらすじ】
ある日、カトリック教会のトップにしてバチカン市国の国家元首であるローマ教皇が、心臓発作のため突如として急死してしまう。教皇死去の悲しみに暮れる暇もなく、イギリス出身でローマ教皇庁首席枢機卿を務めるトマス・ローレンス枢機卿は枢機卿団を招集し、次のローマ教皇を選出する教皇選挙(コンクラーヴェ)を執行することとなった。100人以上の枢機卿がコンクラーヴェが行われるシスティーナ礼拝堂に集まる中、有力候補者として、アメリカ出身でバチカン教区所属、リベラル派最先鋒のベリーニ枢機卿、カナダ・モントリオール教区所属、穏健保守派のトランブレ枢機卿、ナイジェリア教区所属、初のアフリカ系教皇の座を狙うアデイエミ枢機卿、イタリア・ベネチア教区所属、保守派にして伝統主義者のテデスコ枢機卿の4人の名が取り沙汰される中、メキシコ出身で昨年に前教皇によって新たに任命されたばかりのアフガニスタン・カブール教区のベニテス枢機卿が開始直前に到着する。かくしてコンクラーヴェが始まるが、枢機卿団の票が割れていく水面下では陰謀や差別、スキャンダルの数々が犇めいていた。裏で信仰に関する悩みを抱えるローレンスはそれらに苦悩を深めつつもコンクラーヴェを執行していくが、新教皇選出を目前とする中、厳戒態勢が敷かれたバチカンを揺るがす大事件が勃発する・・・

【感想】
現実社会でも、4月21日にローマ教皇フランシスコ(中南米出身・2013年選出)が亡くなり、今後ケヴィン・ファレル枢機卿のもとコンクラーヴェが始まるというニュースを聞いて、この映画は観ておく必要があるかなと思って観てきました。最近ではシアターが満員になるなど経験したことがありませんが、同じ考えの人が多いのか、祝日で一日一回上映だったこともあり今日はチケット完売でした。

観る前は退屈かもしれないなという危惧もありましたが、あっという間に終わったような感じでしっかりと引き込まれる興味深くて面白い映画でした。ローマ教皇はこういうしきたりでこういう手順で選出されるのかということがよくわかりました。完全に秘密裏に行われるので、この映画のような陰謀や地位への欲望みたいなものが実際はどの程度あるのかわかりませんが、カトリック教会の最高権威者になるわけですから、きれいごとだけでは進まないところもあるのだろうなと予想できます。

トマス・ローレンス枢機卿を演じるレイフ・ファインズがとても良かったです。難しい立場で悩みながらも冷静に自分の考えに誠実に品性を持って物事を判断・処理していく姿に気品を感じました。選出結果はある程度予想できましたが、その人物が実は・・・というのは驚きの結果でした。もちろん批判的な驚きではなく、事前にわかっていればあり得なかっただろうということへの驚きであって、選出人物自体には違和感や批判を感じるということではありません。今後、教会は変わっていくのだろうなという期待を抱かせてくれます。

この映画では、保守派のテデスコ枢機卿の選出を阻止しようとしていますが、どういう考え方の人が教皇になるかどうかで、世界情勢も変わってしまうというほど影響力が大きいのだそうです。大国では最近保守派のリーダーの台頭が目につきますので、次の教皇がどういう人になるのかということを映画を観ながら思ってしまいました。

それにしても、これだけ世界に影響力のあるローマ教皇の葬儀に日本の首脳が出席しなかったというのは、なんとも残念な気がしました。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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