【あらすじ】
音楽大学の清掃員として屋上で作業する24才の沢田蒼(山田涼介)は、屋上から飛び降りようとした甚内美夏(浜辺美波)を慌てて止めた。一言も言葉を発しない蒼と、腕や足に包帯を巻いて目が見えない美夏。蒼は、そこで美夏の落とした音の鳴るガムランボールを拾って持ち帰る。ある日蒼は、音楽大学の裏庭で盲人用の杖を持った美夏と出会う。そこで交通事故により、ピアニストの夢を追えなくなっている美夏を知る。蒼はその日から美夏の夢が叶うように支援していく。そんな時に、蒼は大学講師の北村(野村周平)と知り合い、北村に金銭を払って自分の身代わりとして美夏に演奏を聞かせることにより、美夏に夢を取り戻させることを考えてバイトを増やしていく・・・
【感想】
昨年1月の映画です。私の好きな浜辺美波がヒロインということで映画館で観たいと思っていましたが、都合がつかずに観ないまま終わってしまった映画でした。Netflixで無料配信されいましたので観てみました。
過去のケンカで、圭介を庇って喉を刺されその相手を刺殺したという過去に向き合い、そのために言葉を発することができない蒼を演じた山田涼介はとても良かったし、交通事故で目が見えなくなりピアノを弾けなくなって苦悩する美夏を演じた浜辺美波もとても良かったし、違法カジノに通ったりして素行は良くなかったもののだんだんと二人を理解していく北村を演じた野村周平も良かったのですが、涙を流すような感動や優しさを感じることはできませんでした。お互い心に傷を持っていながらも相手のことを思いやった切ない愛情の物語で悪いストーリーではなかったのですが、私の感動のツボには合わなかったという感じです。
なぜかと考えてみると、蒼の行動が過去を引きずっているにしても暗すぎること、北村に身代わりでピアノを弾かせることに共感できないこと、親友であるはずの圭介が蒼の行動を誤解して北村に焼きを入れさせようとした行動に嫌悪を感じること、北村を傷つけた美夏の身代わりとなった蒼の行動は間違っていると思うこと、工事現場で自分の目的のために蒼を呼び続ける美夏の行動が人の迷惑を顧みない自分勝手な行動に映ること、等々、私の価値観とは異なるシーンが多かったせいだと思いました。大筋では、交通事故で挫折したピアニストの夢を取り戻させようとすること、それを自分の立場を自覚してひっそりと応援していくこと、美夏を愛するも美夏の気持を優先して蒼の居場所を教える北村の切なくも優しい心情、など感動で泣けるストーリーではあるのですが、先に書いた個々のキャラクターの価値観が私には合わないせいで、その感動が伝わって来なかったということだと思います。
この映画のそれぞれの優しさは本当に相手のことを考えた優しさなのだろうか、そんなことを考えてしまう作品でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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