小説「連続殺人鬼カエル男ふたたび」

【あらすじ】
凄惨な殺害方法と幼児が書いたような稚拙な犯行声明文、五十音順に行われる凶行から、街中を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」。それから十カ月後、事件を担当した精神科医、御前崎教授の自宅が爆破され、その跡からは粉砕・炭化した死体が出てきた。そしてあの犯行声明文が見つかる。カエル男・当真勝雄の報復に、協力要請がかかった埼玉県警の渡瀬&古手川コンビは現場に向かう。さらに医療刑務所から勝雄の保護司だった有働さゆりもアクションを起こし・・・。破裂・溶解・粉砕。ふたたび起こる悪夢の先にあるものは・・・

詳細は下記の通り。
第1章 爆ぜる
被害者は御前崎宗孝、精神科医・城北大学名誉教授。自宅で爆発により、肉片と化す。カエル男の文字が書かれた紙片があったことから、カエル男の仕業と断定。事前に当真勝雄が訪れていたことから、当真勝雄を犯人として捜索を開始。御前崎宗孝は、「カエル男連続猟奇殺人事件」のカエル男の仕掛け人であり、古沢冬樹に殺された主婦の父親。
第2章 溶かす
被害者は佐藤尚久、プリント基板製作会社従業員。硫酸プールに落ちて首から下が溶けた状態で発見される。カエル男の声明文も見つかり、カエル男による連続殺人事件として捜査。声明文には、「こんどは さ からはじめよう」と書かれていた。
第3章 轢く
被害者は志保美純、OL。JR神田駅の京浜東北線ホームで通過電車に轢かれて肉片と化す。落下時を見たものは見つからず。しばらくしてホームに帰る男が書いたメモが貼られていた。その頃、医療刑務所に収容されていた、有働さゆりが医療刑務所から脱走した。
第4章 破砕する
被害者は末松健三、精神科医。元荒川沿いの製材所粉砕機に上半身を残したまま下半身は肉片と化した状態で発見される。末松は、御前崎教授の娘を殺した犯人、古沢冬樹の裁判で精神鑑定をした医師。弁護士の衛藤と手を組み、古沢を無罪にしたひとり。
第5章 裁く
古沢冬樹が岡崎の医療刑務所を出所。今回の一連の殺人は古沢が本当のターゲットの隠れ蓑という推理のもとに、出所後の古沢を襲うカエル男を待ち伏せて逮捕。カエル男の正体は・・・そして安心した古沢が出会うのは・・・

【感想】
第一作「連続殺人鬼カエル男」の続編。

今回は第一作以上に悲惨な殺人方法で、読んでいるだけでも気持が悪くなるようなものでした。特に「破砕する」は殺されるそのシーンが被害者目線で詳しく書かれており、悲惨さ・残酷さがより増した記述となっています。今回は古手川刑事は無事かと思いきや、「裁く」でのカエル男を捕獲しようとするところで大量出血していまいます。それでも死には至らないところは、前作同様、浮いた非現実感を感じてしまいます。

そういう生々しい殺人における表現を許容できれば、ストーリーは前作以上に面白いかなと思いました。前作よりもページ数の多い作品ですが、真相が知りたくて早く読み進めたくなりますし、冗長なところもなくてテンポよく進みますし、とても読みやすい作品でした。途中で、第一の殺人(御前崎教授)に秘密があるのではと気付いていたので、明かされた真相は「やっぱりそうか!」とクイズに的中したような満足感がありました。もちろん、すべてのカラクリに気付けたわけではないので、謎解きミステリーの魅力が乏しかったわけでは決してありません。

最も悪い古沢が生き残ったことは複雑な感じですが、最後に古沢の悲惨な未来が見えるような形で終わるので、またその先を読みたくなります。それが第三作「連続殺人鬼カエル男完結編」となりますので、文庫本になったら読んでみたいと思います。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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