映画「かくかくしかじか」

【あらすじ】
林明子(永野芽郁)は、宮崎県の片隅で伸び伸びと育ち、自分は絵の天才だと思い込みながら「少女漫画家」になることを夢見ていた。高校生になった明子は、「美術大学に進学して、在学中に漫画家としてデビューする」という無謀な計画を立て、高校3年生で「日高絵画教室」の美大進学コースに入る。しかし、講師であり自らも画家の日高健三(大泉洋)に、それまでの自信と天才との思い込みを粉々に打ち砕かれ、待っていたのは竹刀とアイアンクローのスパルタ指導。そして、厳しくも優しい恩師・日高先生と、調子者のミラクルガール・明子が、ときに反発しながら二人三脚で美大合格を目指すことになる・・・

【感想】
奥さんと長女と三人で観てきました。

とても良い映画でした。奥さんからもまわりの観客からもすすり泣きが聞こえてくる、そんな映画でした。作者の東村アキコ氏がこの物語を大切にしていた気持ちがよくわかります。竹刀を持って「描け!描け!」と叫ぶ日高は乱暴な感じで最初は描かれていますが、実は損得無いまっすぐな気持ちの持ち主で、自分をうまく表現できない優しい人間であることがわかってきます。若い時はそういう日高を理解できなかった明子ですが、その時の会話や行動はとても面白くて思わず笑ってしまうというシーンが多かったです。しかし、次第に日高の優しさに触れて信頼していくという過程では、ほろりとするシーンが増えていきます。そして、最後は悲しいながらも未来に希望に向かって「描け!」といういいシーンで終わります。私は、泣くというよりも、ほんわかした優しい物語だなぁという感じでした。

永野芽郁と大泉洋がとてもいい感じで明子と日高を演じていました。その素敵な明子と日高の関係だけでなく、その中から、やりたいことを思い続けること、それを見守る環境、そしてやり続ける努力、そういう夢を追うために大事なこともあらためて教えられました。奥さんは、娘たちのことと重ねて、好きだったことに対してもう一押ししてあげた方がよかったのかなと、そんなことも考えてしまっていたようです。

この映画、とてもよくできていると思うので、永野芽郁のスキャンダルで見る人が本来よりも少なくなることが本当に残念です。スキャンダルと重なって受け取ってしまうかなとふと冷静に思ってしまうような台詞もありましたが、私は映画にちゃんと入りきることができました。しかし、こういうことがあると、俳優というのは人間的に色が付きすぎるような行動や言動を控えることも大事な職業意識かなと思いました。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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