【あらすじ】
中島奈々(福地桃子)は、若いながら海辺で旅館「中島荘」を営んでいる。9月上旬、休業中のある日、青年・藤井俊太郎(岡山天音)が「どうしても泊めて欲しい」とやってくる。1年前、恋人が亡くなる前にこの旅館に泊まっていたと彼が打ち明けると、心当たりのあった奈々は俊太郎の恋人の足跡をたどる案内役になるのだった・・・
【感想】
寝る前に、さっと観ることができる映画を物色していたら、上映時間76分というのとちょっと気になるあらすじだったので観てみました。2022年の作品だそうです。
奈々は、肉親の死を引きずり、学生時代に好きだったのは同性だったという過去を持ち、俊太郎は恋人が亡くなり、自分もその恋人も子供ができない問題を持っていたという過去を持ち、ふたりとも人生に対して喪失感を持っているという設定です。なので、ふたりに心の底からの笑顔はありません。ふたりが何を考えているのか、肝心なところはぼかしたまま、奈々と俊太郎の会話と出来事で進みます。どうなっていくのかよくわからないまま進みますが、ふたりが海にはいる2度のシーンは、本来は危険とも言える状況でありながら、波の光と背景の光がとても印象的なシーンでした。ふたりの距離は近づいていきますが、このあとどうなるのかは明確に示されずに終わります。しかし、海辺の風景や喪失感を持つふたりがだんだんと心が近づいてそれぞれが新しい生活へ踏み出す様子を淡々と描く映像には引き込まれるものがあって、退屈な感じではありませんでした。
タイトルの「あの娘は知らない」という意味はなんだったのでしょう。その意味を考えるのもこういう映画の楽しみ方かもしれません。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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