映画「か「」く「」し「」ご「」と「」

【あらすじ】
自分に引け目を感じている高校生の大塚京(奥平大兼)は、クラスの人気者・三木直子(出口夏希)が気になっていた。京は三木がマイペースな親友の黒田(菊池日菜子)と過ごす様子を、遠くから見つめるだけだった。ある時、京が宮里(早瀬憩)に言った言葉の誤解を三木が解いたために、京は三木と距離が近づいた。三木の幼なじみの親友・高崎(佐野晶哉)を通して、彼は卒業まで三木と友達の友達でいるつもりだったが・・・

【感想】
この映画はごく普通の学園ものということで、映画館に観に行くつもりはなかったのですが、原作が住野よるだったことと、特殊な能力というところにちょっと興味を持ってしまったので、ぶらりと映画館に出かけて観てきました。

思っていた以上にとてもいい映画でした。メインは京とミッキーのもどかしい恋愛なのですが、5人それぞれが持つある能力によって、それぞれの視点による人の隠された思いが見えて、その隠された思いに寄り添って優しさや思いやりが伝わってくるとても素敵な話でした。5人のその能力はたぶん特別なことではなくて、きちんと相手を見ていればわかることではないかと思います。誰でもその人の心を察することができる敏感な感覚はあるものです。タイトルの「かくしごと」は、その能力のことだけではなくて、人がそれぞれ心の中に持っている想いや秘密のことも指すのかもしれません。

5人の心の中がだんだんとわかってきて、全体的に微笑ましく穏やかな雰囲気で観ることができました。ただ、ヅカがパラとふたりで話し合うシーンは涙腺が緩みぐっと心に響きました。「自分は無理をして人に合わせているだけで心の中ではいろんなことを考えてしまうダメな人間だ」と打ち明けたパラに対して、ヅカは、「誰でも心ではいけないことを思うことはあると思う。だから、それで自分はダメな人間だと思う必要はない。大切なのは、何をしたかということじゃないかな」と言います。私も同じようなことでたくさん悩んだことがあるので、心に沁みてしまいました。

人は、表面的な振る舞いの裏には、人にはわからぬ秘密や悩みを持っているものです。そういうことを素直に話し合えてわかってくれる人の存在の有無によって、人生の景色は大きく変わってきます。ちょうど中学時代や高校時代の自分の情けない日記を読んだばかりだったのと、娘がイジメでまともな学生生活を送れなかった悔しさや後悔などが重なって、5人の人柄や関係は本当に羨ましいと感じてしまいました。

優しさあふれる映画はやっぱりいいものです。原作も機会があれば読んでみようと思います。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

コメント