【あらすじ】
オメダ(田中健)は鳥取県米子市の市長になっており、3期目の選挙に備えていた。密かに日本に帰国していたカースケ(中村雅俊)は、徳島県海部町の漁協で働いていた。そこにカースケの妻・聡子(石井苗子)と息子・直也(東新良和)が訪れ、聡子は直也がイジメにあっていてカースケの職場の近くのフリースクールに入れるので、面倒を見てほしいと言って帰って行く。そんな時に、オメダから洋子(金沢碧)がすでに亡くなっていたことを聞かされ、洋子の夫(森本レオ)を訪ねる・・・
【感想】
「俺たちの旅」は私の一番印象に残っているドラマでした。来年に50周年で映画化されるというニュースを見たので、久しぶりに録画してDVDに書き込んであった「三十年目の運命」を観ました。来年に50周年で映画化されるというニュースを見たので、久しぶりに録画してDVDに書き込んであった「三十年目の運命」を観ました。
放映時にも観ましたが、ドラマ内で50歳台だったカースケ、オメダ、グズ六よりも10歳ほど年上になった今の自分が観ると、思うことが多々ありました。特にカースケの生き方、カースケの子供に対する考え方、人を愛する形、そんなことを自分の身に置き換えて考えさせられました。当時も好きなドラマでしたが、いろんな人生経験を積んだことで、同じものを観ても感じることやその度合いが変化したのだと思います。カースケやオメダやグズ六の生き方に対する苦悩が自分のこととしてわかるようになったからかもしれません。
回想で、カースケが子供の教育を語る中で、「子供の頃にのびのびとできない人間は一生のびのびとはできない。子供の頃に大きな空を見たことのないやつは、一生大きな空を見ることはない。たとえ目の前に大きな空が広がっていてもそれを見ることもできない人間になってしまう」と聡子に言います。これはかなり堪えてしまいました。昔に観ていたはずなのに、自分は何も感じなくて心に響いていなかったのだなと痛感しました。
また、「生きていることは楽しくなくてはいけない。それは人から与えられるものではなく、人生を楽しいものにするのは自分の力だ。」ということも、今、自分の子供たちに言ってやりたい言葉でした。「自分のことを大事にできない子は、死ぬのも簡単なんです」という延子(床嶋佳子)の言葉も突き刺さってきました。将来に希望を持ってくれるには何をどういう形で言えばいいのか、考えさせられました。
カースケの洋子との関係では、愛情というものについて考えさせられます。自分よりも相手のことを考えることが本当の愛情だと簡単に言いますが、そのためには自分の想いを押し込めなくてはいけないこともあるわけで、それはとても難しくて辛いことだと、ふたりの関係を見ていると切なく感じます。しかし、なんかとてもいい関係だったようにも思えます。これほど思いの強い愛というのは眩しいです。
カースケは、「自分なりの生き方をしたかった。たとえ家族のためでも我慢して生きていくのが嫌だった」と言います。さすがにその考え方はカースケも我儘だと自覚してはいるのですが、そういう生き方はひとつの理想でもあります。理想ではありますが、それはカースケだからこそできることで、そんなことは誰もできません。だからこそ、カースケの生き方に共感したり、羨ましさを感じたり、笑ったりするのでしょうね。
「生きることが楽しくないやつは、俺なんかよりもバカだ」
「おれは自分の人生を粗末にしたくないんだ」
「生きていくって楽しいもんなんだよ」
家族にも周りの人にも、そして自分にもそれが伝わる生き方をしていきたいと思いました。そんなことを考えながら、涙ぐんでしまうシーンも多々あったドラマでした。そのシーンで流れる小椋佳の曲も素敵でした。
50周年の映画では、監督の斎藤光正はいません。中村雅俊が監督です。また人生を感じさせてくれるいいものになることを期待したいと思います。なお、お亡くなりになった「ワカメ」こと森川正太さんのキャプチャー画像をホームページに掲載しておきました。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。


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