映画「チルド」

主演が染谷将太ということ、ジャンルとしてはホラー映画であること、その二つの理由で、長女を誘ってふたりで金曜日の夜に観に行ってきました。

ホラー映画と聞いていたわりには、怖いと思わせる心霊描写やドキッとさせるジャンプスケアなどがまったく無くて、これは本当にホラー映画がなのかと思いながら観ていました。淡々とコンビニの日常、副店長・堺(染谷将太)の日常が繰り返されますが、怖いという感じではありません。ただ、堺がちょっと無機質であり人間的なところが少ないかなという違和感は感じていました。後半に入ると、店長の今井(長島竜也)の自殺、ファミレスのシェフが客を撲殺、潰れたキッシュ屋をからかう店員・室田(くるま)が店主の自殺の巻き添え死、オーナー(西村まさ彦)による店員、本部社員、小河(唐田えりか)の刺殺と、人が死ぬシーンが続いて描かれます。しかし、そこにも大きな違和感があって、事件がコンビニやファミレスや道路で起きているにもかかわらず、警察が来たり世間が騒ぐというような気配がまったく感じられません。

そんな内容だったので、観た後は何がどうだったのかよくわからない映画でした。よくわからないなりに私が思ったのは、すべての事件は堺の頭の中で起きていた幻想ではなかったかという解釈です。コンビニの無機質でマニュアル的な仕事を何年も繰り返すことによって出来た価値観によって、堺が受け入れられない人間や言動や不満に対して、非日常的な妄想でそれを処理している。そして、そのような状況に追い込んだ元凶を自分の父親(オーナー)だと思っている。それがこの映画で表現したいある状態の人間の怖さなのかなと思いました。

チルドという意味を文学的な意味で検索したところ、『食品が凍らない程度に冷やされて鮮度を保ったまま停止している状態(0度前後) から転じて、感情の起伏が抑えられた無菌的な精神状態や、生きたまま時間が止まったような不気味な不感症・閉塞感を比喩する表現』とありました。まさに、堺の状態そのものであり、人間としては好ましくない状態なのでしょう。

表面的な怖さはそれほどではありませんでしたが、職場という別の価値観の世界で、無機質に駒の一つとなってしまっている人間、つまりチルド状態の人間の心の中の願望や不満を形にするとこうなるのかという怖さを感じる映画ではありました。

なお、いつものようにパンフレットを買おうとしたら、新聞紙のようなものが1,000円ということだったので、さすがに断念しました。入場者特典は、舞台となるコンビニ・エニーマートのレジ袋でした。

詳しい感想や映画情報に興味のある場合は下記ホームページをご覧ください。

定年後男の趣味三昧/映画/チルド

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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