私の頭の中の消しゴム 2006年12月16日(土)フジテレビ系土曜プレミアム
2004年韓国作品。日本上映は2005年。泣ける映画は好きなのでずっと気にはなっていた映画です。テレビ放映なので吹き替え版。スジン(チョン・ウソン)の声は谷原章介、チョルス(ソン・イェジン)の声は小西真奈美です。原作は、よみうりテレビのドラマ「Pure Soul?君が僕を忘れても?」。
実は映画よりも先に、GYAOのオリジナルドラマ「私の頭の中の消しゴム アナザーレター」(30分/1話、6話完結)を見てしまっています。最終回を見逃しているため、私の中では完結した見方ではないのですが、毎回かなり泣かせてくれました。現在の恋人・周一(袴田吉彦)と過去の恋人・圭介(田中圭)との間を、記憶が行ったり来たりする中で賢明に周一を愛そうとする主人公・紗季(香稚由宇)。辛い思いの中でそれぞれが紗季のことを思い、切ない行動を選んでいく。それぞれの登場人物が優しく暖かく、それが余計にそれぞれの残酷な運命を悲しくさせます。
そういう展開を期待していたせいか、韓国映画「私の頭の中の消しゴム」はかなり物足りなく感じてしまいました。最初に見ればそれなりに感動したとは思いますが、いくつかの点で気になるところが残ってしまいました。
・スジンの性格の一貫性がわかりにくい。
(優しいのか気弱なのかふてぶてしいのか暴力的なのか・・・。)
・チョルスの記憶が無くなる中での、前の恋人のかかわり方が希薄。
・同じく記憶が無くなる過程の記憶の混乱の表現が表面的で短い。
・家族の愛がなんとなく日本的ではなく、理解しにくい部分がある。
・場面の切り替えが煩雑で、かつ、ひとつひとつの場面が中途半端。
などが気になる大きなところでしょうか。もちろん私の主観です。
それにしても、ソン・イェジンはかわいいですね。そういう見方ばかりしていたのが感動が少なかった原因かも知れません。
その中で私が一番心にぐっときたのは、チョルスが家を出た時に残しておいた手紙をスジンが読む場面。チョルスの声でチョルスが手紙を書いたときの心情で読まれるのですが、スジンを忘れたくないという必死の気持ちが矢のように出てくる文章はとても心打つものでした。
この映画で私たちが考えさせられるものは、人間の肉体と精神の死というものです。見守る側はどちらが辛いものなんでしょう。その現実にまだ直面したことのない私は、正直よくわかりません。精神が死んでも肉体が生きていてくれるだけでいいと思えて、その精神が死んだ肉体を愛せるのか、難しいことです。
自分の記憶が消えていくという怖さも実感として今はよくわかりません。ただ、ちょっとしたことを思い出せなかったり忘れてしまったということがあれば、苛立ちや焦りを感じてしまうというのは日常よくありますから、それが大きく押し寄せてくるとしたら、自分がとてつもない不安の中に沈むだろうというのは想像できます。
どんな状況になろうとも、人が人を愛し続け、相手を思いやる行動を選ぶ。
スジンやチョルスのような生き方、私はできるのでしょうか。
なお、GYAOの「私の頭の中の消しゴム アナザーレター」は現在、再配信中です。私も見逃した最終回を今度は見逃さないようにしたいと思います。
映画「私の頭の中の消しゴム」

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