SHINOBI 2007年1月19日(金)日本テレビ系金曜ロードショー
2005年松竹・日本テレビ他作品。
原作は1958年の山田風太郎の「甲賀忍法帖」。初めての忍者バトルおいうことであるが、先に横山光輝の「伊賀の影丸」を知った私は、忍者バトルと言えば「伊賀の影丸」の専売特許に思えてしまいます。
この映画はDVDも持っているのですが、見る機会が無いまま、今夜テレビ放送を先に見てしまいました。この映画、聞いたところによると、日本版最低映画を決める「いちご賞」で2005年ワースト1を受賞(?)したそうです。
そんな評価の映画だそうですが、私はこの映画とてもいい映画だと思いました。久々にもう一度見てみたいと思わせられました。特に泣けるとか笑えるとかいうものではありませんが、心に伝わるものがあってよく作られている作品だと思いました。
甲賀と伊賀の忍者の個性も良く考えられていますし、対戦も非現実的なところはありますが、超能力人間の戦いと見れば特撮とあわせてなかなか楽しめます。中には、あまりにもあっけなく倒されてしまい、あれっと思う部分もありましたが、2時間の中で「戦いの面白さ」と「戦いは無意味」というメッセージを伝えるためには仕方がないのかなと思います。
主人公である朧(仲間由紀恵)と弦之介(オダギリジョー)の恋愛も、ベタベタ流れるのではなくサラリと描いていることにより、その愛情の深さが伝わってきます。無駄な戦いを虚しく思い、避けられぬ朧との戦いでは朧の命を優先する。さらに、おたがいの里が穏やかに暮らせるようにその思いを朧に託す。かっこいいですよ。
蛍火(池尻エリカ)の存在の意味、薬師寺天膳(椎名桔平)の本当の死を選ぶ意味とその悲しさ、陽炎(黒谷友香)の愛する人と交えぬ切なさ、悲しいまでに戦うことだけに存在意義を求めようとする筑摩小四郎(虎牙光揮)や夜叉丸(坂口拓)。よく見るとキラリとしたほろ苦い個性があります。
それぞれの得意術(技)も画一的ではなく工夫が感じられます。不死身の薬師寺天膳は「伊賀の影丸」の天野邪鬼、人の顔を写し取る如月左衛門(木下ほうか)は「仮面の忍者赤影」の傀儡陣内、朧と弦之介は、「地球ナンバーV7」や「バビル2世」での超能力を思い出しました。必然的に戦いがその得意技で単一的になってしまうところは少し残念ではありますが。
そういう楽しめる部分とあわせて、見る人間に問いかけ続けているのが「戦う役割の人間」と「戦い」の意味。どの戦いひとつとっても、勝って笑う、喜ぶと言った場面はありません。戦わずにいられぬ自分たちと戦うことの虚しさをうまく全体を通して伝えていると思いました。ラストシーンも、愛するものたちのために怒りで戦い抜くというのでは無く、自分の身を持って思いを伝えるという地味ながら強烈な結末であるのもいいです。多少ストーリに無理が生じても、ここまで一貫して「戦い」の無意味さを伝えてくれるのかということで、見終わったあとにある種のすがすがしさや嬉しさを感じます。
仲間由紀恵が好きだからというわけではありませんが、誰がなんと言おうと私はこの映画はとてもいいと思いますし、好きです。 いろんな意見があっていいし、どの意見が正しいとか偉いというわけではありませんからね。
映画「SHINOBI」

コメント
「仲間由紀恵」ちょっと恥ずかしい(笑)
アサヒ飲料_ワンダ_07_朝のタクシー篇 「仲間由紀恵」ちょっと恥ずかしい(笑)