映画「0(ゼロ)からの風」

「0(ゼロ)からの風」という映画があります。
私の勤務先で、この映画を従業員に見てもらうように展開があり、私と奥さんと末娘で今日観て来ました。
ストーリは、飲酒・暴走・無免許のクルマで息子を亡くした母が、「危険運転致死傷罪」の新設に尽力する物語です。
被害者の母演ずる田中好子が、加害者である袴田吉彦に放つ言葉には完全に打ちのめされました。全体を通して、被害者の立場からの思いがとても強く出ています。被害者の心情や苦しみや怒りを、どこまで自分の出来事と置き換えられるかが、この映画を見た共感の度合いを左右すると思います。
被害者に厳しい言葉を浴びせた母に、報道記者役の田口トモロヲが言います。
「謝罪している加害者にあの言葉はきつすぎる。彼を追い込んでしまった。」
「あなたも運転している時に違反をしたことがあるでしょう。我々も加害者になることもあるのです。」
私も、そう思わないでもありませんでした。
でも、そう思うときの自分は、その時点で被害者の立場から離れているんですよね。むしろ加害者の立場に近い自分がいます。
大切な人を殺された人は、その加害者を許せるはずがないのです。殺したいとまで思うのです。絶対に加害者の立場にはなれません。そういう被害者に対して、「あなたのことばはきつすぎる」とか、「加害者の立場も理解しろ」と周りの人がいうのは、やはりおかしいのです。
こういう事故や事件だけではなく、いじめ問題にしても何にしても、被害者を責めたり中傷したりする場面が多いように思います。一昨日、昨日にここで書いた名古屋のあの事件でも、被害者の運営していたブログが紹介されるや否や、信じられないことですが、被害者に対する誹謗、中傷の匿名コメントの書き込みが数多くあるそうです。
「0(ゼロ)からの風」は悪質交通事故を題材にしていますが、私は被害者の心情を強く伝える映画だと思いました。その真理は、悪質交通事故だけではなく、なんの過失も無い人が突然命を奪われるという出来事すべてにあてはまります。
そういう被害者のやりきれない気持ちを、加害者も周りの人たちも当然のこととして理解できる社会になってから、死刑廃止や量刑の見直しといったことがはじめて議論されるのだろうと思います。
「相手の痛みのわかる人間になれ。」
私は完璧にはできません。できませんが、それを理解し心がけることが大切なことなのだと思います。普段から、匿名で他人を中傷したり非難したりするのをやめる。そういうところからでもいいと思うのです。

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