そのジグソーパズルは、そんなに美しい絵柄を持っているわけではない、ごく普通のパズルです。大きさもそれほど大きいというわけではありません。
かなり完成してきていますが、まだいくつかのピースが見つからずに、ところどころにぽっかりと穴があいたようなエリアがあります。
ある日、そこに、久しぶりに新しいひとつのピースが私の前に現れました。そのピースは、今までに見たことのない美しい絵柄で、私はそのピースを私のジグソーパズルのどこかに入れたいと思いました。
でもそのピース、絵柄や形がなかなか合わずに、どこにいれればいいのかわかりません。私は、いくつか空いているエリアに置いてははずしたりを繰り返していました。
どのエリアにも、そのピースがしっくりと入る場所がなかなか見つかりません。
そのうち、私もイライラしてきたり、腹がたったりしてきて、そのピースはこのジグソーパズルにはいらないピースだと諦めはじめてきました。しかし、その絵柄は私を虜にしてしまい、どうしても捨てることができません。
仕方がないので、そのピースをじっくり眺めたり話しかけたり、その形をよく観察しました。そうすると不思議なもので、ジグソーパズルの空いている形が、そのピースの形にだんだんと変化していくような感じがしてきました。
ある日、私は、空いているところにそのピースを置いてみました。そうすると、違う形だと思っていたのに、その空いているところに、そのピースがぴったりとはまってしまいました。
私は、ジグソーパズルの空いているところがひとつ埋まったこと、好きな絵柄がジグソーパズルに入ったことで有頂天になりました。私は嬉しくてたまらずに、ジグソーパズルを手に持ってはしゃいでいました。
このとき私は、そのピースがこのジグソーパズルのピースでないことを知っていました。
ほかのジグソーパズルのピースだと知っていたのです。このピースを私のジグソーパズルに入れたままにしておくと、そのジグソーパズルは永遠に完成しません。
でも、私はそのピースをはずして、そのジグソーパズルに戻すことはできませんでした。なんとかそのピースの形に、私のジグソーパズルのピースの形を合わせていくように努力しました。
でも、そのピースは、何か居心地悪そうに時折寂しい表情をするのです。
そんなとき、私は手許が狂ってジグソーパズルを揺らしてしまいました。揺らすと同時に、そのピースは私のジグソーパズルから飛び出て、落ちてしまって形を変えてしまいました。
私は拾ってもう一度ジグソーパズルに入れようとしましたが、もうそのピースは私のジグソーパズルを埋める形のピースではなくなっていました。
このようにして、見つけては失っていったピースは数多くあって、そのピースのことを思うと寂しさやせつなさを感じることがあります。
私のジグソーパズルの中に、再びできた穴のような部分。
今でも、そこにはいる代わりのピースを見つけることができないでいます。
そこは、どんな絵柄が似合うのでしょう。
最後には足りないピースなどなくなって、ジグソーパズル全面に美しい絵柄が現れるのでしょうか。それとも、すべてのピースがどこかに去ってしまい、残るのは灰色の哀しい台紙だけなのでしょうか。
人生のジグソーパズル。
揺らさぬように、落とさぬように。
ジグソーパズル
徒然の思い

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