暗く難しい映画でした。妻に禁じられていたプリンを食べていたために買い物に出ていた妻からの電話に出なかったことを悔いている夫が、その時の妻の留守番電話を何度も聞きながら、妻をトラックで轢いて殺した男に復讐をするというストーリーですが、堺雅人がその異常な雰囲気の夫をリアルに演じています。いったい何を考えているのかよくわからない異様な雰囲気です。妻を殺した木島は山田孝之が悪っぽく演じますが、こちらは、行動や言動は悪っぽいですが、根っからの悪い奴という感じはしません。これは、そういう演出なのか、山田孝之の持つ雰囲気からなのか、そこはよくわかりません。妻の命日となる8月10日の復讐は、タイトルにも通じるのか、夜の侍の仇討ちのような激しいぶつかり合いのシーンでした。ただ、健一は、木島を本当に殺そうとしていたのか、自分だけ殺されて死のうと思っていたのか、その心の奥はよくわかりませんでした。しかし、健一が木島に言う「この物語は、最初から君には関係ない話だった」という台詞は、後悔や怒りはすべて自分の中にあって、自分を責めているのであって、木島を殺したいと思うのはその心を隠す行動だったということを強く感じさせます。お互い、その場を何事も無かったように別れ、健一が妻の留守録を消去し妻に隠れて食べていたプリンに別れを告げるというところで終わることから、この夜の出来事で健一は自分なりのけじめをつけたのでしょう。全体の異様な雰囲気のために、哀しさも切なさも湧き上がる感じはしませんでしたが、逆にそういう雰囲気のために、健一の後悔と自分への怒りの複雑な心境はとてもよく伝わってきました。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。





コメント