映画「言の葉の庭」

2013年の新海誠の映画です。46分という映画としては短い作品です。

靴職人を目指す高校生のタカオは、雨の日は午前の授業には出ずに公園で靴のデザインを考えるのが日課だったが、そこである日、チョコレートをつまみにビールを飲む年上の女性ユキノと出会います。タカオはだんだんとユキノに惹かれていきますが、ユキノはあることで心を病んでいた女性で、タカオとは実は・・・というストーリーです。

ユキノに純真な恋心を抱いていくタカオ、ある出来事で心を病み、立場上タカオへの気持ちを抑えなくてはいけないと心を隠すユキノ。ふたりの心情は雨の中の会話やひとりの時間での描写でとてもよく伝わってきます。ふたりに嫌な感情はまったくなく、ふたりが引き合う理由がよくわかります。その関係は美しいのですが、ラストが近づいてきても感情を揺さぶられ心打つシーンがありません。それだけの物語なのかと思っていたら、最後にタカオとユキノが心の中をぶちまけるシーンは、迫力があり内容も感動的でジーンときてしまいました。

ふたりの心情をあらわす万葉集の歌、
雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ
 ユキノがタカオに、「雨が降ったら君はここにとどまってくれるだろうか」
雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて 降らずとも 我は留らぬ 妹し留めば
 ユキノの歌に対するタカオの返歌、「雨なんか降らなくてもここにいるよ」
こういう思いの伝え方は日本らしく、とても美しく感じます。

映像は雨のシーンが多く、舞台は新宿ですが、そのアニメーションはとても美しくまさにその景色の中にいるような気持ちにさせてくれます。46分と短いところが少し残念ですが、絵もストーリーもとても細やかに作られた作品でした。

なお、ユキノは、新海誠の次回作「君の名は。」の学校のシーンに登場しているそうです。実際そうなのか、もう一度「君の名は。」を観直してみようかと思いました。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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