映画「本心」

私は21:35からの「本心」、長女は21:55からの「THE SIN 罪」を観たくて自宅から37km離れた映画館に行ってきました。「本心」はこのあたりでは最後の上映館となります。

「本心」は、「大切な話がある」と言い残して増水した川に流された母親・秋子(田中裕子)を助けるために川にはいった息子・朔也(池松壮亮)は1年間意識を失い、目覚めたときにはAIが進む世の中に一変していました。過去に犯罪を犯した朔也は仕事もなく友人・岸谷(水上恒司)の勧めでリアルアバターという仕事をするかことになります。そして1年が過ぎた頃、朔也は野崎(妻夫木聡)を紹介されて、母親が言いたかった大切なことを知るために、バーチャル母親を作ることを決意します。よりリアルなバーチャル母親を作るために母親と親しかった三好彩花(三吉彩花)という女性を探し出し、同居することになります。バーチャル母親を含めて人の本心を考えていくというストーリーです。

観た感想は、映画の中のリアル世界そのものが、観ている側からするとリアル世界に見えません。たった数年で世の中の貧富があんなに2極化して差別意識が強くなり、自殺も認められる、コンプラインスもあったものではない世界になるというのは、リアル感、説得力に欠けます。すべてがどこか違う世界で起きているような雰囲気でした。なので、登場人物に感情移入できるかどうか以前の、映画に入り込むこと自体が難しかったという感じでした。

全体的にシュールな内容で、面白かったかと聞かれればそうでもない。つまらないかといわれれば、それもそうでもない。観ていて感じるいろんな疑問もスッキリと解消されるわけではなく、もやもやのまま終わります。観る側の解釈に任せる、そんな気がします。しかし、くだらないと切り捨てる作品ではなく、人間の本心ってどこにどういう形であるのか、それが本当に本心なのかを考えさてくれる作品ではありました。

人間は誰でも人に話していないことがある。人の本心がどこにあるかは、周りの人も本人も分かっていないのかもしれません。ましてやいくら情報を集めたとしても、AIにその人を再現できるものではないでしょうし、死んでしまった人の本心を引き出せるものではありません。お互いに生きて接している時が大事で、そんな時間を大切にすべきだと思わされました。

結局、朔也が昔起こした事件の本心、三好彩花の正体、朔也の彩花への思いは何だったのでしょう。好きな女性とのことを教師がバカにしたから?三好と母が助けようとした黒猫との関係は?好きだったのにイフィーに譲った?いろいろとモヤモヤが残りました。

平野啓一郎の作品はじっくり読んだことはありませんが、私にはこの作品の世界を理解することはできませんでした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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