映画「阪急電車 片道15分の奇跡」

この映画はとても良かったです。登場人物の紹介を兼ねた映像と「人は皆いろんなやりきれない気持ちを抱えて生きている。死ぬほどつらいわけではないけれども、どうにもならない思いを抱えて生きている。そしてその気持ちは誰にも言えないのだ」というナレーションからこの映画はスタートします。婚約中に後輩に婚約者を寝取られた女性、恋人のDVに悩む女子大生、孫の送迎をする老女、受験に悩む女子高生と彼氏、誘われるママ友会に行きたくない主婦、田舎から出てきたオタク系の男女の大学生、友人関係に悩む小学生、が阪急電車今津線の車中や駅でそれぞれが出会って悩みを打ち明け、その会話の中で幸せになる一歩を自ら踏み出していくというお話です。誰と誰がどんな形でかかわっていくのかという構成が秀逸で、わざとらしい感じも無く忙(せわ)しい感じも無く、日常の自然な流れで話が進みます。そこで起きるどの会話においても相手に対する優しさがあふれていて、「そうだそうだ」と共感する部分が多くて、感動と嬉しさが入り混じるような気持ちで涙があふれてきます。何度観直しても泣けてしまいます。登場人物に自分を重ねるところも多く、自分の考え方や思いを強く持っているがゆえに、他人と絡む部分で生き難さを感じたりストレスを感じたりしている部分が私にもあります。ただ、登場人物には優しさがあふれていますが、私はその生き難さに怒ったり諦めたりして人生を過ごしてきたように思います。周りを見る余裕があれば、この人たちのように「きっと、ひとりじゃない」という思いを持てたかもしれません。孤独を避けるために自分を抑えて周りに追従するような生き方はしたくないとずっと思っていましたが、この映画を観ると、その考えのベースには他人を思う優しさが必要なのだとあらためて思い、そこが自分には足りなかった部分だと知らされました。翔子が小学生の翔子に「あなたみたいな人は、きっとこれからいっぱい損をすると思う。でもね、この世界にはあなたのことをちゃんとみてる人もいるから。あなたのことをカッコいいと思う人もいるから。だから、頑張れ。」と励ます場面がありますが、その言葉は力を与えてくれます。私はもう人生終盤ですが、何が人としてカッコいい生き方なのか、これからも考え続けていきたいと思います。描かれている出来事は何気ない日常なのですが、そこに流れている思いはとても大事なことがたくさん詰まっている映画でした。男女違いますが、時江さんのような年の取り方ができればと思います。観終われば心温まり、いろいろあっても人生頑張らないとなと思わせてくれるとてもいい映画でした。余談ですが、鉄道好きの私には、時折り出てくる電車の前面展望シーンも鉄分補給になってとても魅力的でした。

上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。また、ネタバレの記述もありますのでご注意ください。

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